日本航空 再生、視界不良…顧客離れ加速も
1月20日1時1分配信 毎日新聞
「ナショナル・フラッグ・キャリアー」と呼ばれ、日本を代表する航空会社だった日本航空が19日、経営破綻(はたん)した。日航再建を主導する企業再生支援機構は今後、大規模な人員削減など抜本的なリストラに踏み込み、破綻を招いた高コスト体質からの転換を図る。だが、破綻による信用低下で顧客離れが加速する可能性もあり、支援機構が目指す「3年以内の再建」は視界不良だ。【山本明彦、大場伸也】
「負の遺産を総点検し、数字には表れないしがらみからの解放を実現できる」。瀬戸英雄企業再生支援委員長は、日航支援を決めた記者会見で力説した。
支援機構が大なたを振るうのは、「親方日の丸」意識につかった日航の高コスト経営。グループ従業員は3分の1を削減、13年3月期の連結売上高も09年3月期の約3分の2として、経営規模の大幅な縮小を図る。従業員や売上高は、現在の全日本空輸並みとなる。
日航のシンボルでもあったボーイング747(ジャンボ)は全37機を速やかに退役させ、機材小型化を急いで燃費を改善。不採算路線は国際線14、国内線17を削減し、落ち込んだ需要に見合った大胆なスリム化を進める。
10年3月期には、退役させる大型機の償却費用などに4150億円、人員削減なども含め高コスト体質から脱却するためのリストラで総額1兆1300億円を特別損失として計上する見通し。財務基盤悪化を補うため、支援機構から3000億円以上の出資を受けて債務超過状態を解消する。09年3月期から13年3月期までに燃料費約2600億円(約52%)、人件費は約470億円(約17%)圧縮し、900億円規模の営業利益をひねり出す。
さらに現在は米アメリカン航空が相手の提携戦略も見直す方針。日米路線でシェア約32%の米デルタ航空と提携し、重複路線の統合などを進める案が有力で、仮にこれらが実現すると「新生・日航」の姿は様変わりする。
米航空業界も01年の同時多発テロと原油高に直撃され、デルタやノースウエスト航空、ユナイテッド航空などが相次ぎ米連邦破産法の適用を申請した。だが、デルタはパイロット給与の1割以上の削減や債権カットを断行し、破綻から1年半程度で再建を完了した。
しかし、法的整理を「債務削減の手段」と割り切る米国と、「倒産」のイメージが根強い日本では事情が異なる。この年末年始の国際線旅客数は、全日本空輸が前年比8.7%増を確保したのに対し、日航は11.8%減。主力行幹部は「イメージダウンで顧客離れが進んでいる」と指摘する。
支援機構は5年後の旅客収入を2割減にとどまるとみるが、コスト軽減を図った後、国際線を維持しながらどう収益を上げていくのか、といった成長戦略が見えない。「再建期間中に機材などで先行投資を進める全日空との差が開けば、支援機構が描くV字回復の達成は難しい」(証券アナリスト)。日航新会長に就く稲盛和夫・京セラ名誉会長は航空事業の経験がなく、法的整理で顧客離れが加速し、収入が想定を下回れば、2次破綻に陥る可能性は否定できない。
日航が、なぜ赤字になったのかの原因、理由をよく検討、分析、考えるべきだ。
親方日の丸意識から悪いサービス、役人的態度、上から目線での客に対する意識。
高コスト体質からの高い運賃、競争力のない体質、それを維持するための独占的路線、時間の確保を国と組んで作り上げ、利用者の犠牲により成り立たせている。
それでいて職員の給料、待遇は他の航空会社より良いという、まず利用者、お客を優先する考えも、迷惑をかけている意識もない。
職員の給料、待遇は、赤字であるなら落としていくという当たり前のこともなく、ボーナスさえも夏まで支給されていたのである。
それどころか、お客に対するサービスでなく、負担策ばかり考えられ、客が逃げられないように、独占路線、時間の確保により、縛り上げることを国と共同でしていたのである。
破綻による信用低下により客離れがするというが、今さら何を言っているのかと思うわけだ。
とっくに信用は低下し、客離れが起きた結果、破綻したのではないか。
大きな航空機事故、さまざまなトラブルの続出、対応の悪さ、サービスのひどさ、反比例する高い料金。
あたかも今までの客離れの理由を、今回の破綻したことに、すべて責任転換しようという流れ、報道がある。
大きな釘を刺して置きたい。
親方日の丸意識の脱却をとマスコミなどは、異口同音に言うが、それができないから破綻したのではないか。
今さらできるはずもなく、精算すべき話であり、継続しJAL再生は違うのではないか。
JALは、過去何度も国から援助を受け、その度、マスコミも親方日の丸体質の脱却を言ってきたが、結局、何一つ変わらず、現在に至ったわけである。
日本では、巨大航空会社が、ANA、JALと2社あり、他国では1社がほとんどである。
そもそも2社は多すぎるのであり、日本の分量に合わない。
1社でよいのだ。
JAL破綻に合わせて、精算し、ANA1社にすれば済む話だ。
このままでは、JALに税金を投入し、結局、共倒れになってしまう。
1000億円税金を使い、JALもANAも共倒れになっては一体何をしているのか政府は。
戦略も計画もしてこない、JALにお金を出しますでは、話にならない。
きちんとした将来ビジョンを考えた上で、税金を投入するのは判断すべき話だ。
資本主義、競争原理の社会で、一方に大幅税金を投入して、公平、公正な競争ができるものではない。
コストを削減させ、サービス向上をさせてきたANAにとっては、いくらがんばってもJALは、利益も得ず、税金投入され運営されては、競争しようがない。
まったく不公正、競争を阻害するもので、国民も納得できない。
こういうことを政府は、まったく考えもなく、実施したわけでもある。
これだけ税金を投入されている以上、ANAの路線に影響を与えないように運行を計画することは、最低限必要である。
そもそも安易に、税金投入をいとも簡単に決めたのか。
あまりにも早急に、安易に決められたことに呆れる。
しかも莫大なお金である。
再生計画も看板だけで、中身はない、これからという。
プランさえないのだ。
その計画が正しいのか、実行可能か、検証して、判断し融資を考えるものだ。
しかも、税金なのだ。
何故、それで、お金を出すのか。
国民に説明してもらいたい。
破綻した企業の年金が何故支払われるのか。
赤字で払えないはずではないか、どこから出るのか。
結局は、税金で支払われるのではないか。
多くの企業の年金が、精算されているのに、破綻した企業が、税金により支払われるのはどういうことか。
JALは民間企業で、特別ではない。
こういう支出は、許されるものではない。
現役が5割減、OBが3割減という割合もおかしいが、それ以前に、存続していない破綻した企業であれば、年金は精算すべき話だ。
すぐにでも解散、精算すべきである。
税金で維持するなどとんでもない話である。
今後、JAL再生がどうなるかわからにのに、多額の税金をいれることには、国民は納得できるものではない。
今後の見込みがあることや航空行政、ビジョンがはっきりした上で、国民の信任、理解を得た後、税金の投入の必要性、額を判断すべきだ。